機械設計の流れを把握する【第2回】

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第1回目に機械設計の全体像をお話ししましたが、第2回目では、設計の流れについて解説していきます。設計の流れは業界や会社ごとに異なるかもしれません。ただ本筋として基本的な流れは同じになると考え、今回は解説していきます。

まずは設計する目的を理解する

みなさん設計の本来の目的は何だかご存知だろうか?設計という業務は、商品を作り出す役割を持つものだが、本来の目的は違っている。

”売れる”商品を作り出す

これが設計という業務の本来の目的である。
会社にとって”売れる”とは利益そのものだ。

だから、担当者のエゴで設計したり、上司の思い付きで設計をしてはいけないのだ。

売れるか、売れないか作ってみないとわからないという状態で、本来は設計を進めてはいけない。
すなわち、設計の上流には市場調査があるわけだ。

市場調査は一般的に営業職もしくは開発部が担当するので、ここ(営業)との情報交換や意見交換が密にならなくてはならない。ここでの意見交換もやっぱり担当者のエゴになってしまうため、最終的に売れる商品は最高責任者である代表取締役社長が決断することになる。

 

社長も未来が見えるわけではない。
何が売れるかは見えない状況なのだ。

ただ、社長はどの社員よりも正確な情報が集まり、会社の歴史を一番把握しているため、限りなく正解に近い答えを導き出すことができるという役割と責任がある。すなわち、設計とは、

売れる商品を作り出すために、
限りなく正解に近い答えを導き出せる
社長承認を得て行うものである

と定義付けされる。これが本来の企業の中で設計するスタイルとなる。経験の浅いエンジニアはこの部分をしっかり理解することが大事となる。

設計は大まかに2種類ある

設計する目的を正確に理解すれば、あなたの行動は明日から変わることができる。

ただ、同じ設計には大まかに分けて2種類ある。
それは、

・新規設計
・量産設計

である。

新規設計は新しく開発する商品の設計を担当し、量産設計はすでに売れている商品を安さと品質向上、特殊設計を重視した設計を担当する。

量産設計は、工場で生産がはじまっているため、設計変更や追加設計には時間が限られている。また、既に社長承認が下ったものなので、設計変更においてはいちいち社長承認までは必要ないケースがほとんどだ。

 

先ほどの
>売れる商品を作り出すために、
>限りなく正解に近い答えを導き出せる
>社長承認を得て行うものである

 

これらの定義は新規設計開発に関わるエンジニア向けのお話だということを間違えのないようにしてほしい。ただ、量産設計も全くゼロというわけではないため、社長承認を得るスキルも必要となる。

同じ部署内でも、役割が違うため、もしあなたが配属に満足していないなら、一度頭を整理して、新規開発または量産設計のどちらが自分にとってベストな選択なのかを考えてみてほしい。

新商品開発の流れ、あるべき姿とは

これらを理解した上で、本題に入ろうと思うが、設計の流れというものをもう一度おさらいしよう。

1.市場調査、顧客ニーズの把握

2.営業&開発すり合わせ
営業&社長すり合わせ
開発&社長すり合わせ

3.すり合わせで得た情報を元に商品の開発コンセプトを整理

4.概略設計&概算原価の算出

5.全社プレゼン&社長承認

6.開発方針の決定&開発スタート

7.部内担当割り

8.詳細設計

9.部内DR

10.部品図作成&発注

11.納品&組立

12.試作機組立&改善

13.第3者による性能評価&耐久テスト

14.社内お披露目

15.量産開始

 

基本的な開発設計の流れを示したが、企業によっては項目が前後したり、追加になったりするかもしれない。おそらく、基本的にはこの流れになっていると思われるので参考程度にしてほしい。

 

ここで注目してほしいポイントは3つ。

1つは、部門間と社長との間ですり合わせがあること。
2つ目は、開発の方向性を社長承認を持って決定していること。
3つ目に、第3者による性能評価、耐久テストがあること

 

最終的には、3つ目の性能評価で設計仕様を満足できない場合に、開発は設計を急ピッチで変更しないといけなくなる。耐久テストも同じだが、製品寿命が短ければ、部品形状を見直したり、購入品の選定を見直さなければならない。

ここが重要となってくる。

 

また、開発した商品が売れないとなれば、これは大きな責任問題となる。なので、全社プレゼンの議事録はしっかり残しておくべきだ。

 

そして、この設計の流れこそ、組織として開発部隊を強靭な部隊へと成長させる仕組みとなっているのだ。お気づきだろうか。

 

その理由は、第3者による性能評価という部署があることで、開発部の弱点を強制的に炙りだしてくれるところにある。設計の弱点は第3者の部署によって見つかるということが、組織として大事なのだ。

ここには大きな損失を伴うかもしれない。
どうしても目を背けたい不具合が発生するかもしれない。

このような事態は会社にとっても不利益になり、開発者や開発部全体として恥ずべきことなのだ。だから、担当者はもちろん、開発部長もこの対策に頭を使わざるを得なくなる。このスパイラルが大事となってくる。

いかに設計段階で未然に防げることができないのか、現状維持ではなく、進化を遂げる必要があるのかを日々自問自答してほしい。

新商品開発に必要不可欠なスキル

開発部(部長クラス)の役割として、次の売れる商品について営業や社長とすり合わせを行い方向性を打ち出す。その後、全社プレゼン(担当者)にてその商品のコンセプトを打ち出し、社内的な承認を得る。

そこには、ある程度具体的なイメージ図や概算コストなど判断材料となる情報を用意しておく必要がある。社内的な承認が得られれば、ようやく部内にて詳細設計および役割担当を決めて設計がスタートするという流れとなる。

 

ここで大事なことを以下のようにまとめた。

売れる商品の見極め:(営業)
他部門とのすり合わせ:(開発部長)
全社プレゼン&承認:(開発リーダー)
コンセプト&コスト:(開発リーダー)
詳細設計     :(開発担当者)

 

上司となる開発部長が求めている次なる人材は開発リーダーだということがわかる。開発担当者は詳細設計を行うが、ある程度全体的な設計ができるようになると、嫌でも次は開発リーダーになるからだ。

 

開発リーダーは、プレゼンや商品のコンセプト立案、概算コストなどができないといけないのである。部長と同じく、次に何が売れるのかを考え、売れる商品のコンセプトを打ち出し、それを相手にわかりやすく伝え、全社的に承認をもらうのだ。

 

お分かりのように、プレゼン能力は設計以外に必須のスキルとなることはお分かり頂けただろうか。

 

プレゼンのスキルは、決して一朝一夕で身に付くものではない。失敗し、怒られ頭で考えて修正し、またプレゼンするを繰り返すことで身に付くスキルなのである。これは新社会人になってすぐに身に付けておいた方が良いので、ぜひ、訓練を怠らないでほしい。

また、プレゼン資料の作り方をまとめた記事があるので、興味のある方はこちらの記事も合わせて読んでほしい。

商品開発のためのプレゼン資料の作り方!現役エンジニアが語る資料作成7つのステップ

 

以上のように、機械設計の仕事とは大まかにこれだけの作業量をこなしてはじめて一人前のエンジニアと言えることがお分かり頂けたであろうか。

全体像を把握していれば、先輩方がこなす作業をひと時も目を離さずに観察できるだろう。いつかは自分がその作業を行うという意識で仕事に取り組めば、仮に今はできなくとも、情報として知っておかなければならないと意識することになる。

 

もし、今ある目の前の仕事だけに注意を向けていれば、同じ時間を過ごしたとしても、それら情報をキャッチすることはできず、直面してはじめて慌てることになってしまう。そうならないためにも、いつかは自分のところにやってくると準備しておくことをお勧めする。

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