ステンレス鋼板を設計者が使う場合の注意点や素材寸法の規格サイズを選ぶときに役立つ記事です。いろんな種類の素材寸法を調べる人は、この記事だけですべてわかるようになっていますので、ぜひご活用ください。
ステンレス材の特徴とは?
鋼材には、SPCCやSPHCといった圧延鋼板のものと、
SUS材のようなステンレス鋼板に分けられます。
板金で製作する材料にこのような板金材料を使いますよね。
一般的に圧延鋼板は、最終的にメッキ処理や塗装処理を行うことを
前提にその材料を使います。
一方、SUS材はメッキ処理や塗装処理をすることはありません。
機械設計者がSUS材を選定する理由は、以下の理由が多いのです。
腐食が激しく、錆びやすいところ
水や薬品が頻繁にかかり、腐食や錆が発生しやすいと思われる環境では、
もっぱらSUS材を採用するケースがあります。
その反面、一般の圧延鋼板と比べ価格が高くなる傾向にあります。
SUS材は腐食しにくい、錆にくいという特徴から
材料自体の価格も高額になってしまうのです。
また圧延鋼板に比べ、”硬い”という特徴もあります。
機械を構成するすべての板金部品をSUS材にすると、
とても機能性豊かになりますが、価格は通常の倍になると
思えばいいと思います(苦笑
表面処理ですが、
SUS材は基本的に塗装はできません。
SUS材では、「ヘアーライン処理」か「鏡面加工」を行うことが
一般的となっています。
ヘアーライン処理とは、
女性の長い髪の毛が垂れるような模様を言います。
細かな縞模様が表面に入ります。
一方、鏡面加工とは、
その名のとおり鏡のようにピカピカの表面に仕上がった表面を言います。
金額としては、どちらが高いかは加工業者によって変わってきますので、
事前に確認する必要があります。
SUS材鋼板の素材寸法とは?
そんなSUS材ですが、
実際に使おうとすると、どんな素材寸法があるのでしょう?
素材の種類は、主に以下のものがあります。
◇鋼板
◇角パイプ
◇丸棒
◇化粧管
私が主に使っている素材は上記の種類となりますが、
他にも調べるといろいろあると思います。
今回は、上記4つの素材寸法について、
ご紹介したいと思います。
鋼板
鋼板素材寸法は圧延鋼板と比べ、板厚が綺麗な寸法になっています。
板厚としては、t1.0、t1.5、t2.0、t3.0、t4.0、t5.0・・・
があります。
もっと板厚が厚いものは、t50、・・・、t70、t80、t90、t100が
あります。
基本的に3や6や9といった端数のものはなく、
0や5といったきっちりした数字の板厚のものが多いです。
※あくまで一般的な素材寸法となります。
角パイプ
角パイプは正方形のタイプと長方形のタイプに分けられます。
今回は、この2つの素材寸法についてご紹介します。
SUS材 丸棒
他にも、Φ200やΦ300、Φ400まであります。
SUS材 化粧管
これら素材寸法は、私がよく参考にする寸法です。
細かく調べれば、まだ素材寸法があると思いますが、
大まかにはこれで十分使えると思います。
SUS304と2Bの違い、使い分けは?
SUS材は腐食しにくく、錆びないと言われていますが、
厳密にはそうではりません。
SUS材の中にも、錆びる素材もあります。
例えば、SUS304は一番錆びにくく腐食しにくいですが、
とても高価な素材となります。
同じSUS材でもSUS430はSUS304と比べ錆びることがあります。
錆びると、白い粉状のものが発生します。
ただし、SUS304と比べ少し安価な素材となります。
また、表面処理もヘアーライン(HL)や鏡面処理といった違いもあります。
こういった表面処理は表面を美しく仕上げると同時に
防錆効果も施しています。
一方、2Bのようなまったく表面処理を行わないで、
素材そのままの表面のものもあります。
表面は美しくなく、むしろ汚い感じの仕上がりになっています。
表面処理とそうでない場合の使い分けとしては、コストダウンを図るときなどに、
SUS430材を使ったり、2B材を使ったりします。
表に見える部品で、腐食を避けたい場合には、
高価になりますが、SUS304材を使ったりします。
設計思想や会社のこれまでの経緯などに応じて
使い分けると良いでしょう。
SUS材まとめ
以上より、SUS材についてまとめます。
SUS材は、主に防錆や腐食を防止したい場合に使う素材となります。
素材の種類としては、鋼板、角パイプ、化粧管、丸棒があり、
それぞれ素材寸法が決められています。
表面の処理もいくつか種類があり、
何もしない(2B)、ヘアーライン(HL)処理、鏡面加工処理があり、
見た目を気にする場合は、これら表面処理を施します。
基本、SUS材に塗装はしません。
また、圧延鋼板に比べ素材も固いことが特徴です。
ヘアーラインや、鏡面処理の場合、
溶接などで部品を付けた場合には、逆に凹みなどができ、
表に見えてしまうことでみっともない結果になる場合もあります。
あまり溶接部品があるときは板厚の薄いものは
なるべく避けるようにしましょう。
設計としては、大部分を占める材料という位置づけではなく、
この部位だけは・・・という特定の部品に使うことで
機能性の向上を図るために使っていきましょう。
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