3D-CADとは?機械設計の3次元モデリングのデメリットとは?

3次元CADをメーカはどうやって活用しているのか、その実態を紹介していきます。機械設計において3次元CADは必須ではありませんが、使えると何かと便利です。ただ、メリットばかりではなく、デメリットもありますので、合わせて紹介していきます。


 

3D-CADとは

3次元CADとは、部品モデルを3次元の立体形状で作成し、設計支援を行うソフトウェアのことです。このソフトウェアは、いくつか種類があり、それぞれの企業が活用用途に応じて使い分けています。
 
ソフトを選ぶ基準は「機能で選ぶというだけでなく、他の関連企業と合わせて、データ交換をスムーズに行う」という理由で選ばれることが多いようです。データ交換自体は3次元モデルの決められたフォーマットがあるので、その形式で書き出せば読み込めるのですが、ソフトが違うと何かと問題が起きた時に面倒なので、同じソフトを使うといった意味合いが強いと思います。
 
3次元ソフトで代表的なものをいくつかご紹介します。
・CATIA・・・トヨタ自動車、本田技研、三菱自動車など
・Pro/ENGINEER・・・トヨタ自動車、SHARP,SONYなど
・NX・・・マツダ自動車、日産自動車など
・Unigraphics・・・マツダ自動車、日産自動車など
・I-DEAS・・・・・・マツダ自動車、日産自動車、工作機械業界など
・SolidWorks・・・一般機械・家電メーカなど
 
ご覧の通り、自動車メーカなどはCATIAが主流のようです。あとは実際に使ったことのないソフトばかりですが、私が以前勤めていた工作機械メーカでは、I-DEASを使っていました。転職するときも、転職先と同じソフトを使えるなら、それだけで相手に好印象を与え、十分アピールポイントになると思います。
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3D-CADのメリット

3Dの一番のメリットは、視覚的に形状を理解しやすい点だと思います。設計者はもちろん、設計以外の人が見てもすぐに形状を読み取ることができるので、いろんな議論ができるようになります。
 
デザインレビューも営業、製造、品保など他部署を交えて、自分の構想案をすぐに理解してもらえます。また、設計の立場から言えば、解析に活用できるところです。FEM解析とはの記事でも紹介しましたが、解析は3Dモデルをベースに作業を進めていきますので、モデルさえあればあとは何にでも流用できます。
 
もうひとつは、下流工程で活用できる点です。例えば、製造工程で使う作業指示書は、ビューアーがあればペーパーレス化できます。完全に廃止はできませんが、極力ゼロになります。さらに、営業の販促資料などにも使えます。実際に組立されていなくても、3Dモデルでイメージをお客様に伝えることができます。細かく挙げれば、他にも出てくるとは思いますが、大きなメリット言えば、このような感じとなります。

 
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3D-CADのデメリット

一見、良いことだらけの3D-CADですが、実用的にはデメリットもあります。1つはソフトのライセンス料金が高い点です。ライセンス料金は、1年ごとに更新されるもので通常ソフト価格の10%くらい支払うことになります。
 
ハイクラスの3D-CADの価格相場が200~250万くらいとすると、1台あたり20万くらいのライセンスを継続して払うわけです。3D-CADを導入している部署は、大抵複数のPCにインストールしますので、10台あれば、年間200万くらい費用がかかります。この部分は2D-CADにはないデメリットになります。
 
また、スキル面で言えば、図面を書くスキルが衰えていくことが挙げられます。3次元CADは便利すぎるところが、代えって仇となっている感じです。例えば、立体形状を2次元へ展開し図面を書く場合に、実線、陰線すべてが自動で展開されるので、設計者が頭を使わなくなるのです。
 
自動で配置されてしまうが故に、実線と陰線の区別ができないようになってしまうのです。自分で改めて投影図を書くときや読み取る場合に形状が頭に出てこなくなることになります。これは2次元CADを経験してその後3次元に移ると問題ないのですが、はじめから3次元CADを使う人に起こる現象になります。
 
最後にサーバーとのやり取りにやたらと時間がかかることもデメリットになります。通常、チーム設計を行う場合、一旦データはサーバーにアップされ、ローカルのパソコンで、サーバーからデータ更新を行うことで他者が設計した最新のモデルを見ることができます。
 
部位ごとに設計担当者を分けてチーム設計を行うときは、常に最新のデータを見ながら、自分のパートを設計する必要があります。この時のデータのやり取りにすごく時間がかかってしまうのです。データのボリュームによるので、ネックに感じない人もいるかもしれませんが、大規模なデータ量になるとこれが顕著に現れます。
 
2次元CADでは感じたことがなかったストレスが3次元CADになると感じるようになるのです。これが3つが、代表的なデメリットになります。

 
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転職で3D-CADを使えることのアピールポイント

これまでご紹介した通り、3次元CADといっても種類は多く、業界や会社によって使っているソフトウェアも違っています。逆に言えば、転職したい先の会社で同じ3次元CADを使っていれば、かなりのアピールポイントとなります。CADの操作を習得する時間を短縮でき、すぐに設計に取り組めることになるからです。
 
また、同じソフトウェアではなくとも、経験があるだけでも優遇されます。コマンドやボタン配置が違うだけで、考え方や同じような機能が備わっているので、それらを覚えるだけで、基本はわかっている状態になっているからです。教える立場の人も、まったく基礎がない人よりも、ある程度基礎が備わっている人のほうが教育が楽ですよね。
 
なので、3次元CADを使える時点でアピールポイントなると思いますので、ぜひ、面接で操作できることをアピールしてください。3次元モデルを使って解析ができれば、さらにアピールできることは間違いなしです。
 
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この記事を書いた人

福井県生まれ。地元工業大学大学院修士課程を卒業。大学卒業後は、工作機械メーカーの開発部に配属になり、10年間、設計、組立、加工、基礎評価、検査について携わり、その経験をもとにしたメカ設計のツボWEBサイトを立ち上げ。

現在は転職し、衛星、医療、産業機械、繊維機械など多くの設計に携わって、機械設計のノウハウを皆様に役立ててもらう情報発信メディアの構築を行っています。

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